「助けてください、ここに取り残されています」。SNSにこう投稿されれば、見た人は放っておけません。ですが、その住所が実在せず、後日届く「無事保護されました」という報告も、寄付を集めるための演出だったとしたら。金融庁が、令和8年(2026年)熊本地震に関連してこの手口を名指しで注意喚起しています。
「存在しない住所」からの救助要請という、新しいパターン
当サイトの災害に便乗する詐欺の記事では、警察庁の注意喚起をもとに、義援金詐欺の3パターン(公的機関・災害支援団体をかたる詐欺、身内・友人を装う詐欺、警察官を装う詐欺)を整理しました。金融庁は、令和8年7月31日付(8月6日更新)の注意喚起で、これとは別に、SNSを使った次のような手口を具体的な事例として挙げています(出典:金融庁 義援金等を装った詐欺にご注意!<令和8年熊本地震関連>)。
「SNSにおいて、存在しない住所を示しつつ救助要請を行い、救助がなされたとの報告とともに、今後の資金のための寄付と称して電子マネーの送付を求める」
お金を求める前に、まず「困っている人を助けた」という物語を作る。この一手間が、この手口を特に見抜きにくくしています。
なぜ、この手口は警戒心をすり抜けるのか
一般的な義援金詐欺は、団体名や公的機関をかたって、最初から寄付や振込を持ちかけてきます。慣れている人であれば「見知らぬ相手からの送金依頼」として身構えることができます。ですが、SNSの救助要請型は違います。最初の投稿は「助けを求めている人」であって「お金を求めている人」ではありません。周囲がその投稿を拡散し、後から「無事だった」という続報が流れてはじめて、感謝や安堵の気持ちに乗せる形で寄付が呼びかけられます。困っている人を助けられた、という物語に共感した後では、冷静にお金の流れを疑う気持ちが働きにくくなります。
電子マネー・暗号資産も、確認の対象です
金融庁は、被害に遭わないためのポイントとして「義援金の振込み(電子マネーや暗号資産の送付を含む)の前に、振込先がテレビ・新聞等で公表している口座番号・名義情報と同一であるかを確認する」ことを挙げています(出典:同上)。銀行振込だけでなく、コンビニ等で買える電子マネーのギフトコードや、暗号資産での送付を求められた場合も、同じように確認が必要だという点は見落とされがちです。
見分けるポイントと、今日からできる備え
①「救助された」という報告自体を、第三者が検証する手段はない
SNS上の「無事でした、ありがとうございました」という投稿は、投稿主が誰であっても書けてしまいます。実在の被災地の状況であっても、その投稿と紐づく個人のアカウントが本人かどうかを、外部から確認する方法は基本的にありません。
②振込先は、必ずテレビ・新聞等の公式発表と照合する
金融庁が挙げる確認方法をそのまま実践してください。SNS上に書かれた口座番号やQRコードだけを根拠に送金しないことが、最も確実な防御です。
③少しでも不審に思ったら、警察・金融庁の窓口へ
金融庁は、警察(全国共通の短縮ダイヤル「#9110」、最寄りの警察本部・警察署)と、金融庁相談ダイヤル(0120-156811、IP電話からは03-5251-6813)への情報提供・相談を呼びかけています(出典:同上)。
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離れて暮らすご家族が、SNSで拡散されているこうした投稿を目にして、善意から送金してしまうケースも考えられます。日頃から家族間で「SNSの募金・寄付の話は、一度誰かに相談してから」という約束事を共有しておくと、いざという時の歯止めになります。見守りサービス・みまもりGPSのような仕組みも、日頃のちょっとした会話のきっかけになります。
まとめ
SNSでの救助要請を装う義援金詐欺は、「お金を求める」前に「助けを求め、救われた」という物語を作る点が、これまでの義援金詐欺と異なります。共感した後では疑いにくくなるからこそ、振込先の確認という同じ基本動作を、いつも通り徹底することが対策になります。災害に便乗する手口全体については、こちらのハブ記事でも整理しています。
地震も台風も豪雨も。災害に便乗する詐欺・悪質商法を、まとめて整理しました →
(当サイトは個人が運営する情報サイトであり、警察・自治体などの公的機関とは関係ありません。記載内容は金融庁の公表資料をもとに整理したものです。実際の被害に関するご相談は、警察相談専用電話「#9110」・金融庁相談ダイヤル(0120-156811)など公的な窓口へお願いします。)
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