携帯電話は、知らない番号には出ない、と決めることができます。けれど固定電話は、出ざるを得ない家庭があります。そこで、電話を録音してAIが文字にし、詐欺かどうかを判定してくれる仕組みが、すでにあるのかどうかを調べました。確認したのは2026年9月24日時点の、各社の公式ページです。
結論から言うと、固定電話向けにはNTT東日本・NTT西日本の「特殊詐欺対策サービス」があり、スマホ向けにはGoogle Pixelの「詐欺検知」があります。この記事にアフィリエイトリンクはありません。
固定電話の通話をAIが判定するサービスは、ありますか
あります。NTT東日本とNTT西日本は、家庭の固定電話を使っている人向けに「特殊詐欺対策サービス」と、通話録音機能付き端末(特殊詐欺対策アダプタ)を、2020年11月30日から提供しています(出典:NTT東日本の報道発表(2020年11月27日))。
仕組みは次のとおりです。
- アダプタが通話を録音する
- 録音した通話内容をクラウドに送り、AIが解析する
- 特殊詐欺の疑いがあると、あらかじめ登録した本人や親族の電話番号・メールアドレスに、注意を促す連絡が入る
家族側から見ると、危ない電話がかかっていることが本人以外にも伝わる点が特徴です(出典:NTT東日本の公式ページ)。拒否リスト(迷惑電話の番号を登録して着信をブロック)と、許可リスト(家族や友人の番号を登録すると、その通話は録音・解析の対象外になる)の機能もあります。
通話中に判定するのか、通話のあとなのか
NTT西日本の公式ページには、「録音した通話データを通話中に順次クラウド上の特殊詐欺対策AIサーバーに送信します」と書かれています(出典:NTT西日本の公式ページ)。一方、NTT東日本の公式ページは、通話録音データをクラウドに転送して解析する、という説明にとどまり、通話中かどうかは書かれていません。
公式ページの説明は、注意を促す連絡が本人や家族に届く、というものです。通話を自動で切る機能は、説明されていません。
使うには何が必要で、いくらかかりますか
NTT東日本の公式ページでは、次の条件が示されています。
- 加入電話、INSネット64、ひかり電話、光回線電話、ワイヤレス固定電話など、NTT東日本の住宅用の電話サービスの契約があること
- ナンバー・ディスプレイ、またはそれに相当する機能があること
- NTT東日本がレンタルする、通話録音機能付き端末(特殊詐欺対策アダプタ)を使うこと
- アダプタが無線でデータを送るため、電波の状態によっては解析できない場合があること
料金の面では、NTT東日本が「特殊詐欺対策サービスの一定期間無償化」を案内しています。新規の申込で、初期費用と、無償期間中の月額利用料が無料になります。
| 項目 | NTT東日本の公式ページの記載 |
|---|---|
| 無償期間 | 2025年9月1日から2027年3月31日まで |
| 申込受付期間 | 2025年9月1日から2026年9月30日まで(無償化の対象人数に達し次第、受付終了) |
| 利用開始の期限 | 2027年3月31日までに利用を開始しないと、初期費用は有料 |
| 無償期間のあと | 2027年4月1日から月額利用料が発生。解約の申し込みがなければ契約は続く |
申込期限は2026年9月30日で、対象人数に達すると期限前でも受付が終わります。使いたい場合は、早めに公式ページで受付状況を確認してください。NTT西日本の公式ページでは、加入電話などの場合の特殊詐欺対策サービスの月額使用料が440円(税込。ナンバー・ディスプレイの月額使用料を含む、と注記されています)と載っています。あわせて、申込受付期間と申込数を限定して一定期間無料にする案内も出ています。東日本と西日本で条件が異なるため、住んでいる地域の事業者の公式ページで確認してください。
申し込む前に、家族で決めておきたいこと
公式ページの注意事項に、次の点が書かれています。
- 通話録音データを、NTT東日本、解析サーバーを提供する会社、その委託先会社に提供することへの承諾が必要です(西日本では、解析サーバーを提供する会社が別の会社になります)
- 注意を促す連絡先に親族を指定するときは、通知を受け取る本人の同意をあらかじめ得る必要があります
- 注意喚起のメールは、指定した全員に同時に送られ、全員のメールアドレスが宛先に表示されます
- 特殊詐欺の被害の防止を約束するものではない、と書かれています
許可リストに入れた番号を除く通話を録音して、事業者に渡す仕組みなので、本人が納得しているかどうかが大切です。家族が勝手に申し込むのではなく、親と一緒に説明を読んで決めてください。
スマホでは、どうですか
Google Pixelの電話アプリには、「詐欺検知」という機能があります。Googleのヘルプによると、日本ではGoogle Pixel 9以降で使えます(出典:Google 電話アプリ ヘルプ「詐欺検知を使用する」)。
- 初期設定では無効で、自分でオンにします。日本のSIMカードで、日本で使う場合が対象です
- Pixel 9以降では、端末の中のAI(Gemini Nano)が通話を分析します
- 会話の音声や文字起こしは、端末に保存されず、Googleのサーバーなどにも送られないと書かれています
- 通話の開始時と、通話中の数分おきに、ビープ音が鳴ります。相手に、この機能がオンになっていることを知らせるためです
- 詐欺の可能性が高くなると、通知・音・バイブレーションで警告します
Googleのヘルプは、「すべての詐欺電話を検知できるわけではありません。詐欺検知の精度は100%ではありません」とも書いています。NTTのサービスが家族にも知らせるのに対して、Pixelの機能は、通話している本人に警告する仕組みです。
ドコモも、通話の録音をAIで判定する技術を開発しています。こちらはAI音声クローン詐欺の記事で整理しています。
結局、どう選べばいいですか
| 状況 | 検討できるもの |
|---|---|
| 固定電話に出る人がいる。家族にも知らせたい | NTTの特殊詐欺対策サービス(申込期限と受付状況を確認) |
| 使っているスマホが、Google Pixel 9以降 | 電話アプリの詐欺検知をオンにする |
| 機器や契約を増やしたくない | 知らない番号には出ない、留守番電話にまかせる、といった運用のルールを家族で決める |
着信前に「この通話は録音されます」と流す、自動通話録音機・迷惑電話防止機能つき電話機については、電話で始まる詐欺の手口をまとめた記事で紹介しています。知らない番号への対処は、怪しい電話番号への対処法の記事にあります。
AIの判定に頼りきらないために
AIの判定は、詐欺を見抜く手助けにはなっても、すべてを見抜けるわけではありません。Googleのヘルプは、精度は100%ではないと書いています。NTT東日本の公式ページも、被害の防止を約束するものではないと書いています。
最後は、電話の内容で判断してください。警察官や役所の人を名乗る電話で、「口座が犯罪に使われている」「お金を調べる必要がある」「現金を準備してほしい」といった話が出たら、その場で電話を切ります。あとから、警察署の代表番号や、警察相談専用電話(#9110)に、自分で確認してください。
(このページで紹介した料金・条件・仕様は、2026年9月24日時点で確認できた公式ページの記載にもとづきます。変更されることがあるため、実際に申し込む前に、各公式ページで最新の情報をご確認ください。当サイトは個人が運営する情報サイトであり、紹介した各サービスの提供事業者とは関係ありません。)
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