還付金詐欺だけが、なぜ珍しく「減っている」のか。令和8年上半期のデータから見えてきたこと

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当サイトの電話型の記事では、オレオレ詐欺・還付金詐欺・ニセ警察詐欺の3つをまとめて整理しました。この記事では、そのうちの一つ「還付金詐欺」だけを取り上げます。

実は、警察庁が発表した令和8年上半期のデータを見ていくと、還付金詐欺には他の手口とは違う、少し意外な特徴が見えてきました。数字から見えたことを、順番にお伝えします。

「ATMで還付金は受け取れません」から始まった手口

還付金詐欺は、市区町村や税務署、年金事務所などの職員を装い、「医療費」や「年金」の払い戻しがあると電話をかけ、期限を理由に急がせたうえでATMを操作させる手口です。警察庁のSOS47のページでも、「税金還付等に必要な手続きを装って被害者にATMを操作させ、口座間送金により財産上の不法の利益を得る手口」と説明されています(出典:警察庁 SOS47 還付金詐欺)。

この手口が確認されるようになったのは2006年ごろからとされ、翌2007年11月には「振り込め詐欺」の一類型として正式に位置づけられたとされています(出典:Wikipedia「還付金詐欺」。警察庁の公表資料では確認できなかったため、参考情報としてご覧ください)。オレオレ詐欺(2003年ごろ〜)に比べると後発の手口ですが、それでも約20年、電話とATMという組み合わせで生き続けています。

令和8年上半期、還付金詐欺は「珍しく減っている」手口です

ここからが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。警察庁が発表した令和8年上半期の暫定値によると、還付金詐欺の認知件数は1,489件(前年同期比-311件、-17.3%)、被害額は33.1億円(同-1.2億円、-3.4%)と、件数・金額のどちらも減少しています(出典:警察庁 SOS47 令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について)。

これは、他の主要な手口と並べてみると際立ちます。同じ期間、特殊詐欺全体は認知件数+18.3%・被害額+51.7%と大きく増えました。当サイトで先に取り上げたオレオレ詐欺も、被害額は+8.7%の増加です。SNS型投資詐欺にいたっては被害額が+126.0%と、倍以上に膨らんでいます。そんな中で、還付金詐欺だけが件数・金額ともにマイナスという、珍しい動きを見せているのです。

なぜ、還付金詐欺だけが減っているのか

正直なところ、警察庁の資料には「還付金詐欺が減った理由」がピンポイントで書かれているわけではありません。ただ、同じ資料の中にある対策の記述と照らし合わせると、いくつか手がかりが見えてきます。

  • 「ATMでは還付金を受け取れない」という認識が、他の手口より広まっている可能性があります。手口としての歴史が長く、自治体や金融機関、コンビニのATMコーナーなどで繰り返し注意喚起がされてきました
  • コンビニ店員や金融機関職員による声かけの効果も考えられます。警察庁の資料では、令和8年上半期だけで9,685件・108.3億円分の被害が、声かけなどによって未然に防がれたと報告されています(阻止率30.9%)。ATMでの操作という手口の性質上、声かけが効きやすい手口だと言えます
  • 手口そのものが、SNS型投資詐欺やニセ警察詐欺に比べて「目新しさ」を失っているという側面もあるかもしれません。犯人グループも、より成功率の高い新しい手口(SNSを使った投資詐欺や、国際電話を使うニセ警察詐欺など)に軸足を移している可能性があります

いずれも推測の域を出ませんが、「対策が、数字としてある程度効いている手口が存在する」ということ自体は、当サイトとしても前向きにお伝えしたい事実です。

減っても、なくなったわけではありません

ここで気を緩めてしまうのは早計です。件数・金額が減ったとはいえ、令和8年上半期だけで1,489件、33.1億円の被害が実際に発生しています。1日あたりに直すと、今も全国でおよそ1,800万円が還付金詐欺で失われている計算です。

また、特殊詐欺全体で見ると、65歳以上の高齢者の被害が認知件数の42.2%、被害額の46.0%を占めています(法人被害を除く。出典:同上)。還付金詐欺も、電話とATMという組み合わせの性質上、高齢の方が中心的な被害対象であることに変わりはありません。「減っているから大丈夫」ではなく、「対策をやめなければ、この傾向は続く」と捉えるのが正確な理解だと思います。

見分け方は、結局いつも同じ一言に集約されます

手口が生まれてから約20年たっても、還付金詐欺を見分けるポイントは変わっていません。「ATMで還付金は受け取れない」。これだけです。

役所や年金事務所、税務署が、還付金の受け取りのためにATMの操作を指示してくることは絶対にありません。「還付金」「ATM」「今日中」という言葉がセットで出てきたら、その時点で詐欺だと考えて間違いありません。電話を切って、実際にその機関の代表番号(電話で伝えられた番号ではなく、自分で調べた番号)にかけ直して確認してください。

「予兆電話」という言葉も、知っておいてください

警察庁の資料には、「予兆電話」という言葉が出てきます。これは、住所や氏名、資産状況、取引している金融機関などを探るような、特殊詐欺が疑われる電話のことです(出典:同上)。令和8年上半期だけで119,778件、1か月あたり平均で約2万件が警察に把握されています。

還付金詐欺も、多くの場合いきなり本番の電話がかかってくるわけではなく、こうした予兆となる電話が事前にかかっていることがあります。「還付金の対象になるか確認したい」といった、一見無害に思える電話が来た場合も、実際の還付金の手続きで電話が使われることはない、という原則を思い出してください。

ATMの限度額を下げる、という地味だけど効く備え

電話型の記事でも紹介した、留守番電話の常時オンや国際電話の着信休止といった備えは、還付金詐欺にも同じように有効です。加えて、還付金詐欺の場合はATMでの操作が必ず発生するため、次のような備えも効果があります。

  • ATMの利用限度額を、日常使いに必要な範囲まで下げておく。多くの金融機関で無料で設定変更できます。万が一操作をしてしまっても、被害額を抑えられます
  • 「ATMコーナーで電話をしながら操作している高齢者を見かけたら、一声かける」という地域の目。コンビニや金融機関の声かけが被害を防いでいるように、家族や地域の気づきも同じ効果を持ちます

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離れて暮らすご家族の場合、日常的に様子を確認できる仕組みがあると、こうした「気づき」の機会そのものが増えます。見守りサービス・みまもりGPSのような仕組みも、詐欺対策という切り口であらためて検討してみる価値があります。

よくある疑問:単に犯人が他の詐欺に移っただけでは?

ここまで読んで、「対策が効いたというより、犯人グループがSNS型投資詐欺のような、より稼げる手口に移動しただけではないか」と感じた方もいると思います。正直なところ、この疑問はもっともです。

警察庁の資料でも、SNS型投資詐欺の被害額は+126.0%、ニセ警察詐欺は+27.3%と大きく伸びており、犯人グループ全体で見れば、特殊詐欺という枠組みの中でお金を集める力はむしろ強まっています。つまり「還付金詐欺という手口そのものへの対策」と「犯人グループ全体の勢い」は、分けて考える必要があります。

それでも、還付金詐欺という個別の手口に絞れば、地道な声かけや注意喚起が結果として件数・金額の減少につながっている、という事実自体は変わりません。手口ごとの対策には意味がある、ということの裏付けとして受け止めていただければと思います。

まとめ:数少ない「効果が見えている」手口だからこそ

還付金詐欺は、令和8年上半期のデータで数少ない「件数も金額も減っている」手口でした。長年の注意喚起や、コンビニ・金融機関の声かけといった地道な対策が、数字として結果に出ている可能性がある、当サイトとしても記録しておきたい動きです。

ただし、減少はゼロになったことを意味しません。今も年間で数千件、数十億円規模の被害が起き続けています。「ATMで還付金は受け取れない」という一言を、ぜひ一度、親御さんとの会話の中で話題にしてみてください。

オレオレ詐欺・ニセ警察詐欺を含めた電話型全体の手口や、留守番電話・国際電話休止といった備えは、電話型の記事で詳しく整理しています。あわせてご覧ください。

(当サイトは個人が運営する情報サイトであり、警察・自治体などの公的機関とは関係ありません。記載内容は警察庁等の公表資料をもとに整理したものです。実際の被害に関するご相談は、警察相談専用電話「#9110」など公的な窓口へお願いします。)

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