SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺・サポート詐欺。スマホから入り込んでくる詐欺の手口を、家族の目線で整理しました

sns-scam-guide SNS・ネット型

「儲かる投資の話をSNSで見つけた」「マッチングアプリで知り合った人と、最近仲良くしている」。そんな何気ない日常の延長線上に、詐欺が入り込んでくる時代になりました。

電話型の詐欺が主に高齢の親世代を狙うのに対し、この記事で扱う「SNS・ネット型」は、働き盛りの世代やスマートフォンを使いこなす層にも広く被害が及んでいるのが特徴です。「自分は詐欺なんて引っかからない」と思っている方こそ、狙われやすい系統とも言えます。

この記事では、SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺・サポート詐欺(フィッシング含む)の3つを、家族の目線で整理します。

被害の伸びが、いちばん大きい系統です

警察庁が発表した令和8(2026)年上半期の暫定値によると、SNS型投資詐欺の被害額は797.9億円(認知件数5,893件)、SNS型ロマンス詐欺の被害額は246.6億円(認知件数2,509件)にのぼっています(出典:警察庁 SOS47 発生状況)。この2つを合わせただけで1,000億円を超えており、特殊詐欺全体のなかでも被害額の伸びがもっとも大きい系統になっています。

あわせて、フィッシング詐欺の報告件数も年間で200万件を超える規模になっていると報告されています(出典:フィッシング対策協議会 月次報告)。電話一本で完結する電話型と違い、SNS・ネット型は日常的にスマートフォンを使うすべての人が対象になり得る点が、この系統の恐ろしさです。

SNS・ネット型の詐欺とは。被害額の伸びが最も大きい系統です

当サイトでは、詐欺の手口を「電話型」「SNS・ネット型」「AI悪用型」の3つの系統に分けて記録しています。SNS・ネット型は2010年代以降に急拡大した、第二世代にあたる系統です。

この系統に共通するのは、「知らない人からいきなり連絡が来る」のではなく、「時間をかけて信頼関係を築いたうえで、お金の話に持ち込む」という進め方です。電話型が数分から数十分で完結するのに対し、SNS・ネット型は数週間から数ヶ月かけてじっくり関係を築いてくることが少なくありません。この「時間をかける」ところに、SNS・ネット型ならではの怖さがあります。

この系統も、年々姿を変えてきました

SNS・ネット型の詐欺も、電話型と同じように、時代とともに手口の中身を変えてきました。

もっとも古い形は、不特定多数に送りつけるフィッシングメールでした。「心当たりのない請求」のような、いかにも怪しい件名のメールが中心で、注意していれば見抜きやすいものでした。

その後、SNSが普及すると、DM(ダイレクトメッセージ)を使って個別に接触する形に変わりました。不特定多数へのばらまきから、特定の相手をじっくり狙う形への変化です。さらに近年は、投資アプリの画面そのものを本物そっくりに作り込み、リアルタイムで利益が増えているように見せる技術が使われるようになっています。ロマンス詐欺の相手として使われるプロフィール写真も、実在しない顔を作り出す技術で用意されるケースが指摘されています。

「メールの日本語がおかしいから見抜ける」という時代は、もう終わりつつあります。手口の巧妙化は今後も続くという前提で、この先も記録を更新していきます。

手口その1:SNS型投資詐欺

SNSの広告やダイレクトメッセージから接触し、「株式」「暗号資産(仮想通貨)」などへの投資を持ちかけ、最終的にお金をだまし取る手口です。

よくある流れ

  1. SNSの広告や、著名人の名前をかたる投稿・ダイレクトメッセージから接触してくる
  2. LINEなど別のアプリのグループに誘導され、「投資の専門家」を名乗る人物や、他の参加者を装ったやり取りを見せられる
  3. 専用の投資アプリやサイトを案内され、指定の口座への入金を求められる
  4. アプリの画面上では利益が出ているように表示されるが、実際にお金を引き出そうとすると「手数料」「税金」などの名目でさらに入金を求められ、結局引き出せない

一度入金してしまうと、「あと少しで出金できる」という言葉を信じて、繰り返し追加のお金を振り込んでしまい、被害額が数百万円から1,000万円を超える規模に膨らむケースもあります。

見分けるポイント

「元本保証」「必ず儲かる」「今だけの特別枠」という言葉が出てきたら、それは投資ではなく詐欺の合図です。本物の投資に「絶対」はありません。また、SNSで知り合った相手から投資の話を持ちかけられること自体が、そもそも不自然な状況だと考えてください。

手口その2:SNS型ロマンス詐欺

SNSやマッチングアプリを通じて知り合い、直接会うことのないまま恋愛感情や親近感を抱かせ、最終的にお金を要求する手口です。

よくある流れ

  1. マッチングアプリやSNSで知り合い、毎日のように優しいメッセージのやり取りが続く
  2. 「海外で仕事をしている」「医師」「実業家」など、会えない理由がある設定で自己紹介される
  3. 関係が深まった頃合いで、「一緒に将来のために投資をしよう」「事業のトラブルでお金が必要」などと持ちかけられる
  4. SNS型投資詐欺と同じ投資アプリに誘導される場合や、直接の送金を求められる場合がある

この手口の特に怖いところは、お金を失うだけでなく、信じていた相手に裏切られたという心の傷も同時に負ってしまう点です。被害に気づいた後も、恥ずかしさから誰にも相談できず、ひとりで抱え込んでしまう方が少なくありません。

見分けるポイント

実際に会ったことがない相手からお金の話が出た時点で、いったん立ち止まってください。「ビデオ通話はいつも都合が悪い」「会う約束をするといつも延期になる」というのも典型的な特徴です。恋愛感情が絡むぶん、家族や友人に指摘されても素直に受け止めにくいものですが、だからこそ第三者に相談する価値があります。

手口その3:サポート詐欺・フィッシング

パソコンやスマートフォンの画面に偽の警告を表示させたり、実在するサービスを装ったメールやSMSを送ったりして、金銭やID・パスワードをだまし取る手口です。

よくある流れ(サポート詐欺)

  1. インターネット閲覧中、突然「ウイルスに感染しました」という警告画面が表示される(大きな警告音が鳴ることもあります)
  2. 画面に表示された電話番号(「010」から始まる国際電話番号のこともあります)に電話をかけるよう誘導される
  3. 電話をかけると、サポート担当者を名乗る相手からパソコンに遠隔操作ソフトを入れるよう指示される
  4. 「修理費用」「サポート費用」の名目で金銭を要求される

IPA(情報処理推進機構)によると、最近の偽警告画面は「ファイルが持ち出されている」ように見せるアニメーションや偽のチャット画面を表示するなど、本物らしく見せる工夫が年々巧妙になっているとされています(出典:IPA 偽セキュリティ警告(サポート詐欺)対策特集ページ)。

よくある流れ(フィッシング)

実在する通販サイトや金融機関、宅配業者などを装ったメールやSMSで「アカウントが停止されます」「荷物をお届けできませんでした」などと通知し、偽のログイン画面に誘導してID・パスワードやクレジットカード番号を入力させる手口です。フィッシング対策協議会には、年間で200万件を超える報告が寄せられています(出典:フィッシング対策協議会 月次報告)。

見分けるポイント

サポート詐欺は、偽の警告画面が出ても電話をかけないことがいちばんの対策です。画面を閉じるだけで実害はありません。フィッシングは、メールやSMSに書かれたリンクをそのままクリックせず、公式サイトやアプリを自分でブラウザに入力・検索してアクセスする習慣をつけることが有効です。

「自分は引っかからない」という自信が、いちばん危ない

電話型の詐欺は、高齢者を狙う手口として広く知られるようになり、警戒する方も増えてきました。ところがSNS・ネット型は、むしろ「自分はITに詳しいから大丈夫」「昔から投資をしているから見抜ける」と考えている、知識も社会経験もある世代ほど被害に遭いやすいという指摘があります。

理由は単純で、だます側の技術と巧妙さが、個人の知識の向上を上回るスピードで進化しているからです。投資詐欺のアプリ画面は、本物の証券会社のアプリと見分けがつかないほど精巧に作られていることがあります。ロマンス詐欺の相手も、動画通話で自然に会話をこなす例が報告されています。「自分の目で確かめたから大丈夫」が、もはや通用しない領域に来ています。

だからこそ、「見た目で信じない」ではなく、「どんなに本物に見えても、お金を動かす前に第三者に相談する」という、確認の手順そのものを家族の習慣にしておくことが、いちばん確実な備えになります。

この系統ならではの怖さ:時間をかけて信頼を築いてくる

電話型の詐欺が「焦らせて考える時間を奪う」型だとすれば、SNS・ネット型は正反対に、「時間をかけてじっくり信頼させる」型です。数週間、時には数ヶ月にわたるやり取りを経てから本題に入るため、被害者本人にとっては「よく知っている相手」からの提案に感じられてしまいます。

この時間の長さが、家族が異変に気づきにくい理由にもなっています。「最近スマホばかり見ている」「知らない人とのやり取りが増えた」といった変化に、早い段階で気づけるかどうかが、被害を防ぐ分かれ目になります。

家族・自分自身ができる備え

「お金の話が出たら、一度誰かに相談する」を家族のルールにする

投資でもロマンス詐欺でも、最終的には必ずお金の話が出てきます。「SNSやアプリで知り合った人がらみのお金の話は、振り込む前に家族に一度相談する」というルールを、家族間であらかじめ共有しておくと、いざというときの歯止めになります。

投資の勧誘は、必ず公的な登録の有無を確認する

金融商品の勧誘や販売を行うには、金融庁への登録が必要です。知らない相手から投資を勧められたら、金融庁の免許・登録業者一覧で確認する習慣をつけてください。登録がない場合、それは違法な業者です。

フィッシング対策は「リンクを踏まない」が基本

メールやSMSに記載されたリンクは開かず、公式サイトやアプリから直接ログインして確認する。この一手間だけで、フィッシング被害の多くは防げます。

ロマンス詐欺は「恥ずかしさ」が相談の壁になる

ロマンス詐欺の被害者にとって、いちばんつらいのはお金を失うことよりも、家族や友人に打ち明ける恥ずかしさかもしれません。もし身近な人がこの詐欺の兆候を見せていたら、「だまされているあなたが悪い」ではなく、「相手はプロの詐欺師で、だまされて当然の巧妙さだった」という前提で接してあげてください。責めない姿勢が、早い段階での相談につながります。

よくある質問

Q. もう入金してしまいました。取り戻せますか?

すぐに警察と、振込先の金融機関に連絡してください。電話型の詐欺と同様、振込先口座が凍結できれば、振り込め詐欺救済法にもとづく被害回復分配金の対象になる可能性があります。時間が経つほど回収は難しくなるため、気づいた時点ですぐ動くことが重要です。

Q. 家族がSNS型投資詐欺やロマンス詐欺にはまっているようです。どう声をかければいいですか?

頭ごなしに「詐欺だ」「その人は嘘をついている」と否定すると、かえって心を閉ざしてしまうことがあります。まずは「そのアプリ、私も見てみたい」「その人とはどうやって知り合ったの」と、興味を持つ姿勢で話を聞くところから始めてください。そのうえで、消費生活センター(188)などの公的な窓口へ、本人と一緒に相談に行くのが現実的な一歩です。

Q. サポート詐欺の偽警告画面が消えません

ブラウザを強制終了しても消えない場合は、パソコンを再起動してください。多くの場合はそれで解消します。それでも不安な場合は、購入したパソコンメーカーのサポート窓口や、IPAの相談窓口に問い合わせてください。画面に表示された電話番号には、絶対にかけないでください。

チェックリスト:こんなサインが出ていませんか

ご家族の様子を振り返るための、簡単なチェックリストです。複数当てはまる場合は、それとなく会話の機会を作ってみてください。

  • スマートフォンを操作する時間が急に増えた
  • 知らないアプリ(投資アプリ、海外のチャットアプリなど)をインストールしている
  • お金の話題を避けるようになった、または逆に「儲かっている」と話すようになった
  • 家族に見せたがらないメッセージのやり取りがある
  • 「必ず儲かる」「絶対に安全」という言葉を口にするようになった
  • コンビニや銀行のATMに頻繁に行くようになった
  • 「海外にいる恋人」「投資の先生」など、会ったことのない人の話をするようになった

このチェックリストは、疑いをかけるためのものではありません。心配な気持ちを、具体的な会話のきっかけに変えるための道具として使ってください。

相談先の一覧

  • 警察相談専用電話:#9110(緊急のときは110番)
  • 消費者ホットライン:188
  • IPA 情報セキュリティ安心相談窓口(サポート詐欺・ウイルス感染の相談)
  • フィッシング対策協議会(不審なメール・SMSの報告窓口)

まとめ:SNS・ネット型は「時間をかけて信じ込ませる」のが特徴

SNS型投資詐欺、ロマンス詐欺、サポート詐欺・フィッシング。どれも、電話型のように一瞬で焦らせるのではなく、時間をかけて信頼や恐怖を積み上げてから本題に入るのが共通点です。

被害額の伸びがもっとも大きいのがこの系統だという事実を、ぜひご家族と共有してください。「最近スマホでのやり取りが増えたな」という小さな変化に気づくことが、いちばんの防犯につながります。

当サイトでは、この先も手口の変化を記録し続けます。次は、いま進行中の系統である「AI悪用型」の手口を整理していく予定です。

(当サイトは個人が運営する情報サイトであり、警察・自治体などの公的機関とは関係ありません。実際の被害対応は、上記の公的な相談窓口へお願いします。)

コメント

タイトルとURLをコピーしました