サポート詐欺・フィッシングは、なぜ摘発されても減らないのか。2026年最新の相談統計から読み解く

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当サイトのSNS・ネット型の記事では、SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺・サポート詐欺の3つをまとめて整理しました。この記事では、そのうちの一つ「サポート詐欺・フィッシング」を、最新の相談統計とあわせて掘り下げます。

逮捕者が出ても、また増えている

まず、少し意外な事実からお伝えします。IPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ安心相談窓口」によると、2026年第2四半期(4〜6月)の全体相談件数は3,832件(前四半期比+8.5%)で、その中でも「ウイルスを検出した」という偽の警告でパソコンサポート契約に誘導する、いわゆるサポート詐欺の相談は1,428件(同+23.7%)にのぼりました(出典:IPA 情報セキュリティ安心相談窓口の相談状況[2026年第2四半期])。

IPAの同レポートによれば、令和7(2025)年5月ごろ、警察庁が関連被疑者の検挙に関わったことをきっかけに相談件数が一時的に減少した時期があったとされています。しかし、その後また増加に転じ、今では相談全体の中でもっとも多いカテゴリーになっています。「摘発のニュースが出た=この手口はもう終わった」とはならない、というのが実情です。

なぜ、摘発されても手口が消えないのか

理由の一つは、この手口の「参入障壁の低さ」にあると考えられます。偽の警告画面を表示させる仕組みそのものは、技術的に目新しいものではなく、パソコンやスマートフォンの利用者を「電話をかけさせる」ところまで誘導できれば、あとは口先の会話で完結してしまいます。実行役が入れ替わっても、手口の型さえ引き継げば、同じように稼働できてしまうのです。

電話型のように現金の受け渡し役(受け子)が必要な手口と違い、サポート詐欺は電子マネーのコードを読み上げさせるだけで完結することも多く、対面での接触が発生しにくいという特徴もあります。摘発の手がかりとなる「現場」が生まれにくいことも、この手口がしぶとく残り続ける一因だと考えられます。

もう一つ、受け取る側の心理も関係していそうです。「ウイルスに注意」という警告は、日常的にニュースやセキュリティソフトの通知でも頻繁に目にするものです。あまりに見慣れているからこそ、本物の警告と偽の警告の区別が、かえって曖昧になっているのかもしれません。何度も同じ注意を促されるうちに危機感が薄れていく現象は、防犯の世界では珍しくありません。摘発のニュースを一度聞いただけで「もう対策された」と思ってしまうことも、この慣れの一種だと言えます。

「相談は増えているのに、被害額は減っている」という別の顔もあります

ここで、別の統計も見ておきます。警察庁の特殊詐欺統計では、サポート詐欺は「架空料金請求詐欺」という手口の内訳の一つ、「サポート名目」として扱われています。令和8年上半期の暫定値によると、サポート名目の認知件数は735件(前年同期比+69件、+10.4%)、被害額は8.3億円(同-1.3億円、-13.3%)でした(出典:警察庁 SOS47 令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について)。

件数は増えているのに、被害額は減っている。IPAへの相談件数(+23.7%)と並べると、「相談が増えている」「実際に金銭被害に発展した件数も増えている」「ただし1件あたりの被害額は下がっている」という3つの動きが同時に起きていることが分かります。手口自体は広がっているものの、1件あたりで奪える金額は小さくなっている、という見方ができそうです。理由は推測にとどまりますが、注意喚起が広がったことで「途中で気づいて被害が小さいうちに止められるケース」が増えている可能性があります。

フィッシングは、件数が乱高下しながら高止まりしています

もう一つの手口、フィッシングの状況も見ておきます。フィッシング対策協議会によると、2026年6月に寄せられたフィッシングの報告件数は72,370件で、前月の126,061件から53,691件減少しました。一方で、なりすましに使われたブランドの件数は98件(前月比-14件)で、月による報告件数の増減は大きいものの、なりすましの対象となるブランドの多さそのものは大きく減っていません(出典:フィッシング対策協議会 2026年6月 フィッシング報告状況)。

報告件数が月によって大きく上下するのは、特定の大規模なばらまきキャンペーンが行われた月に件数が跳ね上がり、それが収まると急減する、という波があるためです。逆に言えば、「先月は少なかったから今月も安心」とは言えない手口だということです。実在する金融機関・通販サイト・宅配業者など、毎月100前後のブランドが入れ替わり立ち替わりなりすましの対象にされ続けている、という状態が続いています。

見分け方は、シンプルですが徹底が必要です

手口の詳しい流れは、SNS・ネット型の記事で整理しています。ここでは、今回の統計を踏まえて特に強調したい点をまとめます。

  • サポート詐欺:偽の警告画面が出ても、表示された電話番号には絶対にかけないでください。画面を閉じる、またはパソコンを再起動するだけで実害はありません
  • フィッシング:メールやSMSに書かれたリンクは開かず、公式サイトやアプリを自分でブラウザに入力・検索してアクセスしてください
  • 共通して:「今すぐ」「緊急」という言葉で急かされたら、その場でどうにかしようとせず、いったん距離を置いてください

実在する会社の名前を騙るからこそ、油断しやすい

フィッシングでなりすましの対象にされやすいのは、宅配便業者・大手通販サイト・金融機関・携帯電話会社など、多くの人が実際に利用しているサービスです。「Amazonアカウントが停止されます」「荷物をお届けできませんでした」「カードの利用を確認してください」といった件名は、身に覚えがなくても一瞬ドキッとしてしまう文面になっています。この「誰もが一度は使ったことのある会社」を装うからこそ、フィッシング対策協議会に毎月100前後のブランドがなりすましの対象として報告され続けているのだと考えられます。

見分ける際のポイントは、メールやSMSの文面のうまさではなく、「リンクを踏む前に、自分でそのサービスへアクセスし直す」という行動そのものです。文面がどれだけ本物そっくりでも、この一手間さえ習慣にしていれば、被害の大半は防げます。

偽警告画面が消えないときの、具体的な対処

実際に遭遇したときのために、対処の手順も残しておきます。ブラウザを強制終了しても警告画面が消えない場合は、パソコンを再起動してください。多くの場合はそれで解消します。それでも不安が残る場合や、すでに遠隔操作ソフトを入れてしまった、金銭を支払ってしまったという場合は、パソコンを購入したメーカーのサポート窓口、またはIPAの情報セキュリティ安心相談窓口に問い合わせてください。

フィッシングでID・パスワードを入力してしまった場合は、該当のサービスに速やかにログインしてパスワードを変更し、他のサービスで同じパスワードを使い回していないか確認してください。クレジットカード情報を入力してしまった場合は、カード会社に連絡し、利用停止の手続きを取ることが最優先です。

まとめ:地味に見えて、いちばん身近な入り口です

サポート詐欺もフィッシングも、電話型やSNS型投資詐欺のような数百万円単位の被害はニュースになりにくい一方で、相談件数そのものは着実に積み上がっています。警察の摘発があっても手口が消えないのは、参入障壁の低さと、対面での接触が発生しにくいという構造上の理由があるためです。

「偽の警告画面が出たら、まず閉じる。電話はかけない」。この一言をご家族と共有しておくだけで、被害の多くは防げます。

SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺を含めたSNS・ネット型全体の手口は、SNS・ネット型の記事で整理しています。あわせてご覧ください。

(当サイトは個人が運営する情報サイトであり、警察・自治体などの公的機関とは関係ありません。記載内容は警察庁・IPA・フィッシング対策協議会等の公表資料をもとに整理したものです。実際の被害に関するご相談は、警察相談専用電話「#9110」など公的な窓口へお願いします。)

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