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当サイトの電話型の記事と高額療養費・後期高齢者医療の制度改正に便乗した詐欺の記事では、「本物の制度変更のニュース性」がそのまま詐欺の口実にされてきた歴史を整理しました。今回取り上げるマイナンバーカード・マイナ保険証も、同じ構造を持つテーマです。
「マイナ保険証」への切り替えは、今まさに進んでいる本物の制度変更です
現在の健康保険証は新規発行が終了し、マイナンバーカードを健康保険証として利用する「マイナ保険証」への一本化が進められています。これは実際に進行中の制度変更であり、対象となる方に自治体や保険者から案内が送られる場面も出てきます。
そして、この「制度が変わる」という事実そのものが、10年以上前から詐欺の口実として使われ続けてきました。
マイナンバー制度に便乗した詐欺は、制度開始当初から続いている
国民生活センターには、マイナンバー制度が始まった2015年以降、便乗した不審な電話等に関する相談事例が継続的に寄せられています。掲載されている事例だけでも、2018年4月受付(80歳代男性、個人情報を削除すると称してマイナンバーを聞き出そうとする電話)、2019年4月受付(70歳代女性)、2023年10月受付(60歳代女性)と、年代の異なる相談者から、数年おきに同種の相談が報告され続けています(出典:国民生活センター「マイナンバー制度に便乗した不審な電話等にご注意ください!」)。
つまり、マイナンバーという制度そのものが、名前を変え形を変えながら、10年近くにわたって詐欺の題材にされ続けているということです。
2024年、厚生労働省が「マイナ保険証の利用登録」を装う自動音声詐欺に注意喚起
2024年10月29日、厚生労働省は「厚生労働省の職員を装いマイナンバーカードの健康保険証に関する手続を勧める詐欺」への注意喚起を行いました。手口は、現行の健康保険証が新たに発行されなくなることに伴い、マイナンバーカードの健康保険証利用の登録を装って、自動音声案内に従って手続きを行うことを促す、というものです(出典:厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)について」更新履歴(2024年10月29日付)、詳細文言は警察共済組合掲載の転載記事で確認)。
厚生労働省はこの発表の中で、「厚生労働省が、電話の音声案内やSMSなどを用いて、直接、国民の皆様に対して、利用登録を要求することは一切ありません」と明言しています。
2026年、日本郵便をかたる詐欺電話も報告されています
2026年4月17日、福岡県久留米市は「マイナ保険証に関する詐欺電話」への注意喚起を公表しました。手口は、自動音声で日本郵便を装い、「マイナ保険証の件で確認したいことがある」「今日が期限なので話をしたい。1番を押すように」といった案内で操作を促し、その後オペレーターとの会話の中で氏名・生年月日・マイナンバー・保険証番号などの個人情報を聞き出す、というものです。久留米市は「日本郵便がマイナ保険証の件で個人に連絡することはありません」と明記しています(出典:久留米市「マイナ保険証に関する詐欺電話にご注意ください」、2026年4月17日)。
「今日が期限」という、返事を急がせる言い回しが使われている点は、これまで当サイトで扱ってきた他の詐欺の手口とも共通しています。
なぜ、この口実が繰り返し使われるのか
理由の一つは、マイナ保険証への切り替えが、実際に多くの人に関係する制度変更だという点です。「自分にも関係あるかもしれない」と思わせやすいテーマほど、詐欺の口実として使い勝手が良いということが、これまでの記録から見えてきます。
もう一つは、制度の細部(何が変わって、何が変わらないのか、手続きが必要なのはどんな場合か)が複雑で、正確に把握している人がそう多くないことです。「詳しくは分からないが、何か手続きが必要らしい」という程度の認識のところに、もっともらしい案内を装って連絡が来ると、判断の材料が不足したまま話が進んでしまいます。
本物の手続きは、電話やSMSでは進みません
各機関の発表に共通しているのは、電話・自動音声・SMSを使って直接利用登録や個人情報の提供を求めることはない、という点です。厚生労働省も日本郵便も、この点をそれぞれの発表で明確に否定しています。マイナンバーカードの取得申請やマイナポイントの手続きについても、消費者庁が「マイナンバーや、口座番号・口座の暗証番号、資産の情報、家族構成などの個人情報を電話などで聞いたり、金銭を要求したりすることはありません」と明言しています(出典:消費者庁「マイナポイントに乗じた詐欺にご注意ください!」)。
「1番を押してください」で立ち止まる、3つの分かれ道
- 自動音声で「1番を押してください」と言われても押さない。操作を進めた先でオペレーターに繋がり、個人情報を聞き出される流れが複数報告されています。
- 「今日が期限」など、急がせる言葉が出た時点で一度電話を切る。本物の行政手続きが、電話一本の対応をその日のうちに急がせることは通常ありません。
- 不安なときは、自分で調べた窓口にかけ直す。電話で案内された番号ではなく、マイナンバー総合フリーダイヤルや、お住まいの自治体の代表番号に、自分からかけ直して確認してください。
離れて暮らす家族と、今のうちに決めておきたいこと
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マイナ保険証への切り替えは、多くの世帯にとって「一度は関係する」話題です。だからこそ、離れて暮らす親御さんのもとにこの手の電話がかかってきても、本人が気づかないまま話を進めてしまうことがあります。日常的に様子を確認できる仕組みがあれば、「最近、マイナンバーの電話とかなかった?」と自然に話題にできる機会も増えます。見守りサービス・みまもりGPSのような仕組みも、制度の切り替えが続くこの時期にあらためて検討してみる価値があります。
マイナンバー総合フリーダイヤルという、自分から確かめる番号
- マイナンバー総合フリーダイヤル「0120-95-0178」
- 警察相談専用電話「#9110」
- 消費者ホットライン「188」
- 不審な電話でその場からすぐに助けを求めたい場合は、迷わず110番
まとめ:制度が変わるたびに、同じ骨格の電話が繰り返されてきました
マイナンバー制度そのものが始まった2015年から、マイナポイント事業、そして今のマイナ保険証への一本化まで、制度の中身は変わっても、「制度が変わったので」「手続きが必要なので」という口実の骨格は、10年近く変わっていません。今回の切り替えが特別に狙われやすいと決めつけることはできませんが、少なくとも「制度の変わり目」が詐欺師にとって使い慣れた道具であることは、これまでの記録からはっきり見えてきます。
電話型の詐欺全体の手口や備えは電話型の記事で、還付金詐欺そのものの特徴は還付金詐欺の記事で、制度改正に便乗した別の事例は高額療養費・後期高齢者医療の記事で、それぞれ詳しく整理しています。あわせてご覧ください。
(当サイトは個人が運営する情報サイトであり、警察・自治体などの公的機関とは関係ありません。記載内容は厚生労働省・消費者庁・国民生活センター・各自治体等の公表資料をもとに整理したものです。実際の被害に関するご相談は、警察相談専用電話「#9110」など公的な窓口へお願いします。)
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