もう「日本語の不自然さ」では見抜けない。総務省が動いた、フィッシングメールの現在地

「日本語の不自然さ」ではもう見抜けない。総務省が動いた、フィッシングメールの現在地 AI悪用型

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「日本語が変だから、これは詐欺メールだ」。長年、多くの人が使ってきたこの見分け方が、静かに効かなくなりつつあります。生成AIの登場によって、フィッシングメールの文面から不自然さが消え始めているためです。

総務省が、業界団体に対策強化を要請しました

総務省は2025年9月1日、電気通信事業者協会・テレコムサービス協会・日本インターネットプロバイダー協会・日本ケーブルテレビ連盟のIT関連4団体に対し、フィッシングメール対策の強化を要請しました(出典:フィッシング対策協議会 ニュース記事集)。

要請の柱は、迷惑メールフィルターの精度向上と、送信元のなりすましを技術的に防ぐ「DMARC」という送信ドメイン認証の導入です。単なる呼びかけではなく、対象の4団体には2026年8月末まで3カ月ごとに進捗状況を報告することも義務付けられています。この要請の背景として挙げられていたのが、「生成AIで巧妙化するフィッシングメール」への対抗でした。

報告件数は、実は減っています

ここで、最新の数字を確認しておきます。フィッシング対策協議会がまとめた2026年7月の報告によると、フィッシングの報告件数は66,119件で、前月より6,251件、率にして約8.6%減少しました。一方で、悪用されたフィッシングサイトのURL件数は43,267件と、前月より1,026件(約2.4%)増えています。悪用されたブランド数も101件で、前月から3件増えました(出典:フィッシング対策協議会 2026年7月フィッシング報告状況)。トップ3ブランドはAmazon(約37.0%)、Apple(約11.8%)、セゾンカード(約7.7%)で、上位5ブランドだけで全体の約68.6%を占めています。

報告件数だけを見ると、むしろ落ち着いているようにも見えます。ただし、これは「AIによる巧妙化で被害が急増している」という単純な話ではないことを意味します。件数が横ばい・減少する中でも、総務省が業界に対策強化を求めたという事実は、件数の増減とは別の次元で、質的な変化への警戒があったと見るのが自然です。

「日本語がおかしい」が、見分け方として機能しなくなりつつある

この「質的な変化」について、いくつかのセキュリティ関連メディアが指摘しているのが、生成AIによる文面の自然化です。以前は、フィッシングメールを見分ける手がかりとして、不自然な日本語や違和感のある言い回しが挙げられることがよくありました。しかし生成AIの登場により、そうした不自然さそのものが目立たなくなってきている、という指摘が複数のセキュリティ専門メディアから出ています(出典:日経BP「もはや不自然な日本語では気付けない!生成AIを使ったメール攻撃を防ぐには」・サイバーウェイブジャパン「『日本語がおかしい』では見破れない!?AI生成フィッシングメールと新しい確認フロー」)。日本語を母語としない攻撃者であっても、生成AIを使えば自然な日本語のメールを作成できるようになった、という技術的な背景が理由として挙げられています。

なお、この記事では「攻撃件数が具体的に何倍に増えた」といった数字は使っていません。複数の記事で見かけた具体的な倍率は、いずれも出典元がはっきりしなかったためです。ここで確かに言えるのは、「不自然な日本語」という長年の見分け方が、以前ほど頼りにならなくなってきている、という質的な変化だけです。

文面ではなく、行動で見分ける時代に

文面の自然さで判断できなくなるなら、判断の軸を変える必要があります。総務省が導入を求めた「DMARC」のような技術的な対策は、利用者からは見えない部分で進んでいますが、私たち一人ひとりができることも変わってきます。

  • メールやSMS内のリンクは開かず、公式サイトやアプリを自分でブラウザに入力・検索してアクセスする:文面がどれだけ自然でも、この習慣を崩さないことが最大の防御になります
  • 「今すぐ」「緊急」という言葉で急かす内容には、いったん距離を置く:文章が丁寧であればあるほど、逆に立ち止まる判断が必要です
  • 普段見慣れているはずのブランド(Amazon・Apple・カード会社等)ほど警戒する:2026年7月の報告でも、上位5ブランドで全体の約7割を占めています。よく使うサービスだからこそ、届いたメールを条件反射で信じない習慣が大切です

「日本語が変だから分かる」で止まっている家族に

「最近の詐欺メールは日本語が変だから分かる」という認識のまま止まっている方は、意外と多いかもしれません。世代を問わず、「もう文章のおかしさでは見分けられなくなってきているらしいよ」と、まず前提を共有することが第一歩です。そのうえで、「リンクは自分で調べて開く」という一つの行動だけを合言葉にしておくと、実際に迷ったときの助けになります。

まとめ:文面の自然さは、もう安全の証拠にならない

  • 総務省は2025年9月、生成AIによるフィッシングメールの巧妙化を背景に、業界4団体へ対策強化を要請しました
  • 2026年7月のフィッシング報告件数は66,119件で前月比約8.6%減少していますが、悪用URL・ブランド数はやや増加しています
  • 件数の増減とは別に、生成AIによって「不自然な日本語」という従来の見分け方が機能しにくくなってきている、という指摘があります
  • 具体的な倍率などの数字は出典が不確かなため、この記事では扱っていません
  • 文面の印象ではなく、リンクを自分で調べて開くという行動を、いま一度の合言葉にしてください

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