2026年9月26日(金)から10月2日(木)までの期間に、警察や報道機関が公表した詐欺事件の事案を記録します。
この週は、三重県警察が5件の事案を公式サイトに掲載したほか、海外に拠点を置く詐欺グループへの摘発が複数報じられました。なかでも、LINEのビデオ通話で偽の警察手帳を見せる手口が、三重県内の事案(9月26日)とラオスを拠点に活動していたとされるグループ(10月2日逮捕)の両方で確認されたことは、記録として残しておく意味があると判断しました。
確認先は三重県警察の公式サイト(防犯情報・詐欺被害情報)と警察庁の公開情報です。千葉県警察については、前週まで参照していたURLがこの週はすべて404でした。URLの形式が変わった可能性があるため、次週はトップページから掲載形式を確認します。
LINEのビデオ通話で偽の警察手帳を見せる手口が、この週2つの事案で確認されました
三重県警察が公式サイトに掲載した情報によると、9月26日(金)、四日市市の20代の男性が詐欺の被害に遭いました。被害額は150万円です。
手口は次のような流れです。まず郵便局員を名乗る人物から電話がかかってきました。その後、電話が大阪府警察の捜査員を名乗る人物に替わり、紙幣の識別番号を確認する必要があるという名目で現金を要求されました。そして現金を受け取りに来た人物に手渡す前に、LINEのビデオ通話で偽の警察手帳を見せたとされています。
ビデオ通話で「証拠」を見せることで、相手の信頼を高めようとする手口です。以前は電話での口頭説明だけで終わることが多かったのに対して、ビデオ通話という視覚的な手段が加わっています。画面越しの映像については、作成が比較的容易であることは指摘しておきます。
同じ手口は、海外拠点への摘発でも確認されています。10月2日、栃木県警察と神奈川県警察が、ラオスに拠点を置く詐欺グループに関わったとして日本人9人を逮捕したと複数のメディアが報じました。このグループも、LINEのビデオ通話で偽の警察手帳を見せる手口を使っていたと報じられています。
ラオスを拠点とする詐欺グループへの摘発として、栃木・神奈川両県警が連携した今回の案件は、国内メディアが複数、初の摘発として報じました。海外に拠点を置きながら日本国内の被害者に電話をかけ、警察官を名乗って現金を要求するという構造は、カンボジアや東南アジア各国で確認されている手口と同じです。
警察官を名乗る電話があった場合は、電話を切ったうえで、公式に公表されている番号に自分でかけ直して確認することが、警察庁や各都道府県警察が呼びかけている対応です。本物の警察官が電話でお金の話をすることはありません。
SNSや携帯メッセージで接触し、宝くじや副業を口実に送金させた事案が3件確認されています
三重県警察が公式サイトに掲載した情報によると、この週、SNSやSMSを入り口とした接触から始まる事案が複数確認されています。
津市の60代の男性は、SNSで知り合った人物から宝くじに当選したという話を持ちかけられ、現金とAppleギフトカードを合わせて約110万円を支払ったとされています。ギフトカードや電子マネーは、受け取ったあとすぐに番号を使えてしまうため、送金と同様の機能を果たします。ギフトカードや電子マネーで支払うように求めてきた場合は、それ自体が詐欺の兆候です。
松阪市の70代の女性は、SMSで宝くじの当選を告げるメッセージを受け取ったことをきっかけに接触が始まり、今年1月から9月21日までの約8か月間にわたって、電子マネーカードで合計約2,000万円を支払ったとされています。
単発ではなく、長期間にわたって繰り返し送金させる型の被害です。当選金を受け取るための費用として少額を求めることから始まり、手続きが続いているように見せながらさらに費用を要求するという流れが、このタイプでは繰り返されます。被害が長引くほど、ここまで払ったのだからという心理が働きやすくなります。
名張市の30代の女性は、SNSで知り合った人物から副業の話を持ちかけられ、暗号資産で約100万円相当を送金したとされています。
SNSで知り合ったばかりの人物から副業や投資の話が来た場合は、慎重に確認することが必要です。暗号資産は一度送金してしまうと取り戻すことが難しいという特性があります。
宝くじや副業を口実とする手口については、警察庁が「SOS47」のサイトで継続的に統計と注意喚起の情報を公表しています。10月2日には、令和8年8月末時点の発生状況が更新されました。
証券会社の社員をかたり、名義貸しは犯罪だと告げて1,000万円以上を振り込ませた事案
三重県警察が公式サイトに掲載した情報によると、四日市市の70代の女性が、証券会社の社員を名乗る人物から電話を受けた事案が確認されています。「名義を貸していることは犯罪になる」と告げて示談金名目で振り込みを求め、現金1,000万円以上と電子マネー8,000円分を支払わせたとされています。
この手口の特徴は、被害者を犯罪に関与した側として扱うことで、警察や家族への相談をしにくくさせる点にあります。被害者ではなく加害者になっているという形で不安を煽り、示談金を名目にお金を出させます。
似た手口として、過去に投資詐欺の被害に遭った方が、後になって「被害金を取り戻せる」と持ちかけられた別の詐欺グループに接触されるケース(いわゆる二次被害)でも、同様の脅し方が使われることがあります。証券会社・銀行・捜査機関を名乗る電話で示談金や手数料の支払いを求められた場合は、電話を切ってから、公式に公表されている番号に自分でかけ直して確認することが必要です。
カンボジアの拠点への摘発が続いています
9月29日、カンボジアに拠点を置く詐欺グループに関わったとして、さらに2人が逮捕されたと報じられました。この件に関連するとみられる逮捕者はこれで累計35人となり、被害は約10億円に上るとされています。
カンボジアの拠点については、この週の前の9月25日に、かけ子のリーダー格の人物が逮捕されたと報じられています(速報:カンボジア拠点の詐欺、かけ子リーダーを逮捕へ)。また、9月26日付の日次記録(9月26日)でも、この報道について記録しています。
累計35人・被害約10億円という数字は、報道機関が報じた情報であり、捜査の全体像が確定しているわけではありません。今後の捜査の進展によって変わる可能性があります。
金融機関への照会協定の対象が、20行に広がりました
9月30日、警察庁が特殊詐欺の被害が疑われる口座について照会協定を結ぶ金融機関を20行に拡大したと報じられました。
照会協定は、警察から連絡があった場合に金融機関が素早く対応できる体制を整えるための取り決めです。被害者がATMに向かう途中や、送金の指示を受けた直後のような段階で、口座の使用を止めることができるかどうかは、照会から対応までの時間にかかっています。
制度的な対応が拡充されていく一方で、詐欺側も新しい手段(暗号資産・ギフトカード・コンビニ端末など、口座以外の送金手段)への誘導を並行して行っているとみられます。照会協定の対象となる銀行振込以外の方法でお金を動かすよう求められた場合は、立ち止まって確認することが必要です。
この週の日次記録
この週(9月26日〜10月2日)には、以下の日次記録を公開しています。
日次記録では、各日に公表・報道された事案を個別に記録しています。週次記録はその週の事案を俯瞰してまとめたものです。
確認先と、このアーカイブの記録の方針
このアーカイブでは、警察庁・都道府県警察が公式に公表した情報を一次情報として参照しています。三重県警察の防犯情報ページは、発生事案の概要(日付・地区・手口・被害額)を継続して掲載しています。
報道機関(NHK・各社)による記事は、一次情報を補完する目的で参照しています。報道内容の正確性について独自に確認できない部分は、「〜と報じられています」という表現で区別しています。
警察庁の特殊詐欺対策ページ(SOS47)では、被害に遭わないための情報を継続して公表しています。警察官が電話でお金の話をすることはないこと、疑わしい電話があった場合は電話を切って公式番号に自分でかけ直すことが呼びかけられています。
被害者の氏名・詐欺グループの固有の組織名称は、警察が公表した内容の範囲に限って記載しています。記録にない情報の推測や断定は行っていません。
情報の誤りや気づいた点がある場合は、info@sagi-teguchi-archive.com にご連絡ください。このアーカイブは個人が運営しています。
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