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2026年上半期、SNS型投資詐欺の接触経路のうち「バナー等広告」経由の被害額が前年同期比252.5%増になりました(警察庁・令和8年上半期暫定値)。SNSや動画サービスに流れる「著名人が投資を勧める広告」の多くは、本人が関与していない偽広告です。
この記事では、偽広告の見分け方と騙されないための具体的な行動に絞って、警察庁の発表をもとに整理します。「なぜ止められないのか」という構造的な話はこちらの記事で扱っています。
YouTubeやInstagramに流れる「著名人の投資広告」は、本人が出演していない
最近、動画サービスやSNSで「著名な実業家や芸能人が投資を勧める動画広告」を見たことがある方は多いと思います。あの動画の多くは、本人が出演した別の動画から顔・声・発言を切り取り、投資の宣伝のように見せかけて再加工したものです。
警察庁の令和7年確定値では、SNS型投資詐欺の接触手段として「バナー等広告」が最多でした。令和8年上半期にはさらに加速し、同じ「バナー等広告」経由の被害額が前年同期比252.5%増という水準になっています。
広告の件数ではなく、被害額が2.5倍以上になっているというのは、1件あたりの被害が大きくなっていることを意味します。
偽広告の「作り方」は3つのパターンに分かれる
実際に被害者が見たと証言している広告をまとめると、おおむね以下の3パターンに分類できます。
パターン1:実際の動画を無断切り抜きして音声を吹き替え
テレビのインタビュー映像や公式の講演動画から顔の部分だけを使い、声を別音声に差し替えて「この投資ツールで資産を増やした」などと話しているように見せる。字幕を追加して、本人のコメントのように見せるものもある。
パターン2:画像と偽の引用文の組み合わせ
有名人の顔写真に「月収300万円を達成した方法を公開します」などのテキストを重ねて静止画広告にする。写真に偽りはなくても、テキストは本人とまったく無関係。
パターン3:AIで合成した顔と声
近年増えているのが、AI技術で有名人に似せた人物を動画内に生成するパターン。本物の映像がなくても「それらしい人物」を作れるため、より巧妙。
いずれの場合も、広告をクリックすると投資グループへのLINE追加や登録フォームに誘導されます。
広告から始まる詐欺の流れ
偽広告から被害に至るまでの典型的な流れは以下のとおりです。
- YouTubeやInstagramで「著名人が投資について話す動画広告」を見る
- 広告をクリックすると、投資サービスの紹介ページやLINE追加のリンクに飛ぶ
- LINEグループに招待され、「専門家」や「サポーター」と名乗る人物がメッセージを送ってくる
- グループ内で「今日の利益+○%」「メンバーがこれだけ稼いだ」などの偽の実績が投稿される
- 「この投資ツール・口座を使えば同じように稼げる」と誘導され、指定された口座に入金する
- 最初は「利益が出た」と見せかけて信用させ、まとまった額を入金した段階で連絡が取れなくなる
令和8年上半期のSNS型投資詐欺では、InstagramとX(旧Twitter)での被害が拡大傾向にあります(警察庁・同暫定値)。プラットフォームをまたいで接触してくるパターンも増えています。
「必ずもうかる」「元本保証」は詐欺の合図
金融商品の勧誘で「必ずもうかる」「元本保証」という言葉を使うことは、金融商品取引法で禁止されています(第38条・断定的判断の提供の禁止)。正規の金融機関・証券会社は、この言葉を使って勧誘することができません。
逆に言うと、「元本保証で年利○%」「絶対に損しない」という言葉が広告に出てきた時点で、正規の金融機関による案内ではないと判断してよいということです。
また、政府に登録された正規の金融業者は金融庁の「金融サービス利用者相談室」が公開している検索ページで確認できます。勧誘してきた会社・サービスの名前を検索しても出てこない場合は、無登録の業者である可能性が高くなります。
60代の被害が金額ベースで最多、ただし30〜50代も多い
令和8年上半期のSNS型投資詐欺の被害者層を見ると、被害額では60代が最多で、認知件数では20〜50代が約6割を占めています(警察庁・同暫定値)。
「高齢者が騙される」というイメージが強い詐欺ですが、SNS型投資詐欺に限って言えば、現役世代(30〜50代)の被害が件数ベースでは多く、被害額も大きいという状況です。金融リテラシーや経験の有無に関係なく、「SNSで見た著名人の投資広告」という入り口は誰にでも現れます。
見覚えのある有名人が出ている広告は、公式サイトで必ず確認する
偽広告を見分けるための基本的な行動として、以下が挙げられます。
- その有名人の公式サイト・公式SNSを確認する:本人が実際にその投資サービスを推薦しているなら、公式アカウントにも告知があるはず。広告だけに出てくる情報は偽である可能性が高い
- 金融庁の「金融サービス利用者相談室」で業者名を確認する:正規業者は登録が義務づけられている。検索して出てこなければ無登録業者
- 「元本保証」「必ずもうかる」が出たら即座にクローズする:正規業者はこの言葉を使えない。合法な金融サービスではない
- LINEグループへの招待は断る:SNS型投資詐欺の典型的な次ステップ。入った後に「やっぱりおかしい」と気づいても断りにくくなる
- 家族・友人に話す:「この広告を見たが投資しようか迷っている」と第三者に話すだけで、冷静な判断ができることが多い
→ SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺・サポート詐欺を含むSNS経由の詐欺全体については、こちらのまとめ記事もご覧ください。
→ 令和8年上半期のSNS型投資詐欺の被害額が前年比で大きく増えた背景については、こちらの深掘り記事で整理しています。
出典:警察庁「令和8年上半期における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」(2026年7月31日)・警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」(2026年6月5日)
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