副業をあっせんする会社の社員を名乗って電話をかけ、「副業を始めるには保証金が必要」と言って暗号資産を振り込ませる。この手口で、警視庁特別捜査課は2026年9月、2024年6月以降に全国の男女1,000人以上から合計約15億円相当をだまし取ったとみられるグループの幹部を逮捕したと発表しました。すでに紹介している副業詐欺の記事とは、お金を求められるタイミングが違います。今回は、この「保証金」型を、警視庁・警察庁の発表から整理します。
実際に、どんなことがあったのか
警視庁特別捜査課の発表によると、2025年11月中旬、都内の20代の女性に、副業をあっせんする会社の社員を名乗る者から電話があり、「副業を始めるには保証金が必要」などとうそを言われました。女性は、指示されるまま暗号資産(ビットコイン)約50万円相当を送金し、だまし取られたとされています(出典:時事通信「副業詐欺グループのトップ逮捕 指示役も、全国で被害15億円か―警視庁」)。警視庁は、詐欺グループの幹部とみられる37歳の男と、指示役とみられる31歳の男を、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の疑いで逮捕しました。2人とも、認否は明らかにされていません。
全国では、どれくらいの被害が出ているのか
警視庁特別捜査課は、2024年6月以降、同じ手口で全国の男女1,000人以上から、合計約15億円相当をだまし取ったとみて捜査しています。実際に電話をかける役(かけ子)とみられる人物、合わせて13人がこれまでに逮捕され、うち12人が起訴されたとされています(出典:同上)。
この数字は、今回逮捕された2人が直接関わったと確認された分ではなく、警視庁が「同じ手口」として捜査対象にしている全体の規模です。今回の逮捕容疑(20代女性・約50万円)は、そのうちの1件として立件されたものです。
広告は、どうやって「本物の求人」に見せかけられていたのか
今回のグループは、インターネットで副業を検索した人に「スマホ一つで手軽」「簡単な作業で利益を得られる」といった広告が表示されるように仕込んだうえで、応募してきた人に電話をかけていたとされています(出典:同上)。求人サイトに登録したり、SNSの広告をクリックしたりする側からは、検索した結果として自然に出てきた広告に見えます。
警察庁のSOS47(特殊詐欺対策ページ)は「副業を名目とした詐欺」を独立したテーマとして取り上げており、「『短時間』『簡単』などの甘い言葉で副業を勧める広告入口の詐欺」が、上半期だけで400件以上確認されていると公表しています(掲載されている事例のデータは令和6年上半期分です)。同じページに載っている2つの事例は、最初に少額の報酬を受け取らせたあと、「損失が発生した」「注文の処理ができないと違約金が発生する」などと言って、追加の送金を求めるパターンでした(出典:警察庁SOS47「副業を名目とした詐欺」)。
「保証金を先に求める」型と「あとから追加請求する」型は、何が違うのか
副業詐欺には、お金を求めるタイミングが違う、少なくとも2つの型があります。
| 型 | お金を求めるタイミング | 今回・関連の事例 |
|---|---|---|
| 保証金先払い型 | 副業を始める「前」に、保証金という名目で | 警視庁発表の今回の事件(暗号資産約50万円) |
| 追加請求型 | 実際に少額の報酬を受け取らせた「あと」に、損失補填・違約金などの名目で | 国民生活センター発表の事例(副業詐欺の記事で紹介)、SOS47の2事例 |
「先に保証金を求められる」という構造そのものは、副業に限った話ではありません。当サイトで紹介している融資保証金詐欺も、「お金を貸す前に、保証金を振り込ませる」という同じ構造を、融資という別の文脈で使っています。名目や業界が変わっても、「本来受け取るはずのお金より先に、こちらから何かを払わされる」という順番は、警戒すべきサインとして共通しています。
見分けるポイントは何か
今回の事例と、警察庁SOS47の案内をあわせると、次のような点が確認できます。
- 副業を「始める前」に、お金を求められていないか:仕事の内容を確認する前に、保証金・登録料・初期費用などの名目でお金を求められたら、応じずに立ち止まります。
- 支払いの方法が、暗号資産に限定されていないか:正規の仕事のあっせん・紹介で、応募者側が暗号資産での支払いを求められることは通常ありません。
- 「スマホ一つで」「簡単な作業で」という広告を、検索結果やSNSで見た経緯を思い出す:広告そのものが、応募者を集めるために仕込まれている場合があります。
- 相手の会社名・所在地・連絡先を、自分で確認できるか:電話の相手が名乗った会社名が、実在するか、公式サイトの連絡先と一致するかを確認します。
もし、すでに送金してしまったら
次の行動を、できるだけ早く取ってください。
- それ以上の追加の送金には、絶対に応じない:「損失を取り戻すために、もう一度送金してほしい」という連絡は、同じ相手からの二次的な要求である可能性があります。
- 警察相談専用電話(#9110)、または最寄りの警察署に相談する。
- 消費者ホットライン(188)に相談する。
- やり取りの記録(電話番号・メッセージ・送金先アドレス)を、できるだけそのまま保存しておく:相談時の手がかりになります。
まとめ
- 警視庁は2026年9月、副業をあっせんする会社の社員を名乗って「保証金が必要」と言い、暗号資産を振り込ませたとして、詐欺グループの幹部・指示役とみられる2人を逮捕したと発表しました。
- このグループは、2024年6月以降、全国の男女1,000人以上から合計約15億円相当をだまし取ったとみられており、かけ子とみられる人物13人が逮捕、12人が起訴されています。
- 広告は、インターネットで副業を検索した人に表示されるよう仕込まれていました。
- 副業を「始める前」に保証金を求められる型は、あとから追加請求される型(既存の副業詐欺の記事)とは、お金を求めるタイミングが異なります。「先に払わされる」という構造は、融資保証金詐欺など、他の手口にも共通しています。
(当サイトは個人が運営する情報サイトであり、警察・自治体などの公的機関とは関係ありません。記載内容は、警視庁・警察庁が公表した情報をもとに要約したものです。逮捕された人物は、いずれも容疑の段階であり、認否は明らかにされていません。)
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