「詐欺」とひとことで言っても、実際には手口がいくつもあって、正直どれがどれだか分からなくなる、という声をよく聞きます。このサイトではこれまで、詐欺の手口を「電話型」「SNS・ネット型」「AI悪用型」「なりすましメール・偽サイト型」「災害便乗型」という5つの系統に分けて、それぞれ詳しく比較・整理してきました。今日は、その5つと、もう一つの軸である「闇バイト型」を合わせて、1枚の地図としてまとめておきます。
①電話型(8手口):主に高齢者を狙う、昔からある手口
電話から始まる詐欺は、オレオレ詐欺・還付金詐欺・ニセ警察詐欺・預貯金詐欺・キャッシュカード詐欺盗・金融商品詐欺・融資保証金詐欺・ギャンブル詐欺の8つに分けられます。
それぞれの増減を比較すると、はっきりした傾向が見えてきました。増えている手口(ニセ警察詐欺・キャッシュカード詐欺盗・金融商品詐欺)は、いずれも銀行の振込監視の外側を通ります(現金の直接受け渡し、キャッシュカードそのものを奪う、証券・未公開株など銀行を介さない取引)。逆に減っている手口(還付金詐欺・預貯金詐欺・融資保証金詐欺)は、いずれも銀行口座を経由します。銀行側の監視が強化されるほど、詐欺の側は「口座を使わない」方向へ移っていることが分かります。
詳しい手口ごとの比較は電話型8手口の比較記事にまとめています。
②SNS・ネット型(4手口):デジタルで完結し、現役世代も狙われる
SNS・ネット型は、SNS型投資詐欺・SNS型ロマンス詐欺・架空料金請求詐欺(サポート詐欺を含む)・交際あっせん詐欺の4つです。
被害金の流れを見ると、SNS型投資詐欺は依然として振込(69.3%)が中心ですが、SNS型ロマンス詐欺は、件数では振込が多いものの、被害額でみると暗号資産送信(57.5%)が振込(36.6%)を上回っています。一方、紙やSMSが入口になる2手口(架空料金請求・交際あっせん)は、電子マネーやコインロッカーという別の「足のつきにくさ」を使っています。また、交際あっせん詐欺だけが認知件数(+96.4%)・検挙件数(+1,700.0%)の両方で急増しているという、他とは違う動きも見られました。
この系統は高齢者だけでなく、現役世代・専門職の人が時間をかけて信頼を築かれたうえで被害に遭うケースが目立ちます。詳しくはSNS・ネット型4手口の比較記事にまとめています。
③AI悪用型(5手口):まだ統計が追いついていない、最新の手口
ディープフェイク投資広告・AI音声クローン詐欺・AI検索汚染・AIチャットボット偽サポート・AIフィッシング文面の5つです。この系統は、電話型・SNS型のような「認知件数・被害額の増減」を示す公式統計がまだ整っていません。
そこで比較記事では、それぞれの手口を「実被害が拡大中」「対策が先行している」「まだ起きていない」の3段階に整理しました。AIを使った詐欺は、技術の進歩の方が統計の整備より速く進んでいる、というのがこの系統の特徴です。詳しくはAI悪用型5手口の比較記事にまとめています。
④なりすましメール・偽サイト型(4手口):「知らない相手」ではなく、いつも使っているサービスを装う
宅配便業者・税務署/国税庁・カード会社/大手ECサイト・行政機関になりすまし、メールやSMSを入口にする手口です。電話型・SNS型・AI悪用型は「知らない番号」「知らない相手」という入口の時点で身構えることができますが、この系統は普段から取引のある「いつも使っているサービス」の名前を借りてくるため、信頼している相手だからこそ警戒心が働きにくいのが最大の特徴です。フィッシング対策協議会の月次報告でも、月によって上位の顔ぶれは変わりますが、Amazon・Apple・楽天カード・PayPayカードといった、生活に身近な大手ブランドを装う報告が繰り返し上位に挙がっています。詳しくはなりすましメール・偽サイト型の手口の記事、4つの手口の比較はなりすまし型4手口の比較記事にまとめています。
⑤災害便乗型(4手口):地震・台風のたびに、同じ手口が繰り返される
義援金詐欺(電話・訪問型)、義援金詐欺(SNS救助要請型)、悪質リフォーム商法(点検商法)、保険金勧誘商法の4つです。この系統は、①〜④とは違う特徴があります。義援金詐欺の2つは令和8年熊本地震をきっかけに警察庁・金融庁がそれぞれ個別に注意喚起した、独立した件数統計がまだない手口ですが、保険金勧誘商法だけは、10年で24倍(2010年度111件→2019年度2,684件)という確立した統計を持ち、災害の直後に限らず平時から続いている手口だと整理されています。同じ「災害便乗型」という括りの中に、災害のたびに新しく生まれる手口と、災害と関係なく前から続く手口が混在しているのが特徴です。詳しくは災害便乗型4手口の比較記事にまとめています。
もう一つの軸:闇バイト型
ここまでの5系統は「だまし取られる側」の分類でしたが、闇バイト型は少し性質が違います。これは、詐欺の実行役(受け子・出し子など)に、SNSの高額バイト募集から巻き込まれてしまう側の問題です。①〜⑤のどの手口でも、現金や情報を実際に受け取る役として、闇バイトで集められた若者が使われることが少なくありません。詳しくは闇バイトの手口の記事にまとめています。
結局、どこから読めばいいか
ご自身やご家族が「電話でこんなことを言われた」という具体的な状況があるなら①、「SNSで知り合った人から」という状況なら②、「AIが絡んでいそうで不安」なら③、「宅配便や税務署、カード会社からの連絡だと思ったら」という状況なら④、「地震や台風の後で」という状況なら⑤から読むのがおすすめです。何も起きていないけれど詐欺全般について知っておきたい、という場合は、①から順番に目を通してもらえれば、今の詐欺の手口をひととおり把握できる構成にしています。
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