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当サイトの高額療養費・後期高齢者医療の制度改正に便乗した詐欺の記事とマイナ保険証切替に便乗した詐欺の記事では、「本物の制度変更のニュース性」が詐欺の口実にされてきた歴史を整理しました。今回取り上げる「物価高対策の給付金」も、同じ構造を持つテーマです。
- 今、実際に動いている給付金があります
- 2024年、内閣府の名前を騙るフィッシングメールが確認されました
- 2年後の2026年、長野市が同じ文言で注意喚起しています
- 「給付金を装う詐欺」自体は、時代を変えて何度も起きています
- 「給付金詐欺」は、実は新しい手口ではありません
- 今回の給付金が一段落しても、油断はできません
- 「対象が広い」ことが、この口実の強さになっています
- 本物の給付金は、メールのリンクから申請させません
- 不審なメールが届いたときの、3つの止まりどころ
- 新しい給付金が出るたびに、家族で確認する習慣を
- もし、すでに情報を入力してしまっていたら
- 確認・相談の窓口
- まとめ:給付金という言葉は、いつの時代も詐欺に選ばれやすい
今、実際に動いている給付金があります
電気代・ガス代・食料品の値上がりに対応するため、国は「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金」を実施してきました。住民税非課税世帯など、家計への影響が特に大きい世帯を対象とした給付金です(現在、申請受付は終了しています)。内閣府自身がこの制度の公式ページで「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金を装った振り込め詐欺や個人情報の詐取にご注意ください。市区町村や内閣府の職員などをかたった不審な電話や郵便があった場合は、お住まいの市区町村や最寄りの警察本部・警察署、警察相談専用電話(#9110)にご連絡ください」と、電話・郵便を使った便乗を名指しで警告しています(出典:内閣府「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金について」)。
さらに、こども家庭庁は「物価高対応子育て応援手当」として、対象児童1人につき2万円を1回限り支給する制度を進めています(出典:こども家庭庁「物価高対応子育て応援手当」)。どちらも、実在する国の制度です。
そして、この「給付金が出る」という事実そのものが、繰り返し詐欺の口実にされてきました。
2024年、内閣府の名前を騙るフィッシングメールが確認されました
2024年1月30日、内閣府は「内閣府を騙った電子メールやサイトにご注意ください」として、注意喚起を公表しました。「電力・ガス・食料品価格高騰対応緊急支援給付金(5万円)に関するお知らせ」などとする詐欺的メールが配信されているとの情報が寄せられました。当該メールは「内閣府ホームページ」を送信元とし、マイナポータルを騙った偽サイトに誘導するものですが、「内閣府ではそのようなメールは送信しておりません」と明記されています(出典:内閣府「内閣府を騙った電子メールやサイトにご注意ください」、2024年1月30日)。
フィッシング対策協議会も同時期、「【50,000円給付金】電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金のご案内」という件名のメールについて緊急情報を出しています。誘導先は「https://cao-go-●●●●.com/」(●部分は伏字)といった、内閣府の正式ドメインに似せた偽サイトでした。同協議会は対策として「日頃からサービスへログインする際は、メールやSMS内のリンクではなく、いつも利用しているスマートフォンの公式アプリやブラウザーのブックマークなどからアクセスするよう、心がけてください」と呼びかけています(出典:フィッシング対策協議会「内閣府を装うフィッシング」、2024年2月7日)。
2年後の2026年、長野市が同じ文言で注意喚起しています
2026年4月20日更新の長野市のページは、「給付金詐欺メールにご注意ください」として、2024年の内閣府の注意喚起とほぼ同じ内容を伝えています。「当該メールは『内閣府ホームページ』を送信元とし、マイナポータルを騙った偽サイトに誘導するものですが、内閣府ではそのようなメールは送信しておりません」としたうえで、「長野市においても、マイナポータルに誘導する案内メールは送信しておりません」と明記しています(出典:長野市「給付金詐欺メールにご注意ください」、更新日2026年4月20日)。
2024年に内閣府が確認した手口と、2026年に長野市があらためて注意を呼びかけた内容は、文言までほぼ同じです。2年経った今も、同じ手口への注意喚起が必要とされ続けていることになります。
「給付金を装う詐欺」自体は、時代を変えて何度も起きています
給付金を騙る詐欺は、物価高対策が初めてではありません。大阪府泉佐野警察署は2023年7月、「低所得世帯価格高騰重点支援給付(3万円)」の給付を装い、役所職員等を名乗って口座情報を尋ねる電話への注意を呼びかけています。「重点支援給付金の給付のため、市役所等が電話で個人情報を尋ねることやATMの操作をお願いすることは、ありません」としています(出典:大阪府警察「重点支援給付金を装った詐欺にご注意!!」、令和5年7月)。
さらに時代をさかのぼると、佐賀県警察は、新型コロナウイルス対策として2020年に一律支給された「特別定額給付金」についても、偽メールへの注意を呼びかけています。「特別定額給付金の情報は、総務省HPをご確認ください」「オンライン申請は、マイナポータルからです。まずURLをしっかり確認したうえで手続きをしてください」と案内しています(出典:佐賀県警察「給付金の偽メールに注意!」)。
物価高対策の給付金、低所得世帯向けの重点支援給付、コロナ禍の特別定額給付金。給付金の名称も、実施された年も違いますが、「給付金が出る」という切り口そのものは、少なくとも2020年から2026年までの6年間、繰り返し詐欺の題材にされてきたことになります。
「給付金詐欺」は、実は新しい手口ではありません
給付金を騙る詐欺そのものは、今回の物価高対策が初めてではありません。消費税率の引き上げに伴う影響を緩和するために支給された「臨時福祉給付金(経済対策分)」についても、厚生労働省は「給付金を装った不審な電話・メールが発生しています」として、振り込め詐欺や個人情報の詐取への注意を呼びかけたことがあります(出典:厚生労働省「給付金を装った不審な電話・メールが発生しています」)。国が新しい給付金を実施するたびに、その名前を騙る詐欺が形を変えて現れる、という構図は、今回に限った話ではないということです。
今回の給付金が一段落しても、油断はできません
ここで一つ、時系列を整理しておきます。詐欺の口実にされた「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金」は、内閣府の案内ページ上ではすでに「給付金の申請受付は終了しました」となっています。こども家庭庁の「物価高対応子育て応援手当」も、支給は令和7年度補正予算にもとづくもので、コールセンターは2026年7月31日をもって運営を終了しています。つまり、これまで詐欺の口実にされてきた給付金・便乗が確認されている制度は、いずれも申請・問い合わせの受付が一区切りついた段階にあります。
これまでの記録を見る限り、詐欺は「話題になっている給付金」の名前を借りて現れる傾向があります。今回取り上げた制度がひと段落したとしても、次に新しい給付金の実施が発表されれば、同じ構造のメールや電話が形を変えて出てくることは十分に考えられます。「今回の給付金の話はもう終わったから関係ない」ではなく、「新しい給付金のニュースが出るたびに、同じ手口が繰り返される可能性がある」という前提で見ておく方が安全です。
「対象が広い」ことが、この口実の強さになっています
理由の一つは、対象になる世帯が幅広いことです。住民税非課税世帯向けの給付金も、子育て世帯向けの手当も、「自分にも関係あるかもしれない」と思う人の母数が大きく、詐欺師にとって声をかける相手を選びやすいテーマです。
もう一つは、給付金の対象条件や手続き方法が、制度ごとに細かく違うことです。「今回は自分がもらえるのか、もらえないのか」を正確に把握している人は多くありません。判断材料が不足しているところに、もっともらしい案内が届くと、真偽を確かめる前に反応してしまいやすくなります。
さらに、給付金の情報は自治体・国それぞれから、時期をずらして発表されます。「〇〇市はもう始まっているのに、うちはまだ届いていない」という情報の非対称性も、詐欺師にとっては都合の良い材料です。「他の人はもう受け取っている」という言い回しが使われると、確認する前に急いで対応してしまう心理が働きやすくなります。
本物の給付金は、メールのリンクから申請させません
内閣府・長野市とも、給付金を装った偽メールについて「そのようなメールは送信していない」と明確に否定しています。フィッシング対策協議会も、給付金に限らずフィッシング全般への基本対策として「サービスへログインする際は、メールやSMS内のリンクではなく、いつも利用しているスマートフォンの公式アプリやブラウザーのブックマークなどからアクセスする」ことを挙げています。給付金の申請そのものについて、国や自治体が普段どのような案内方法を取っているかは制度ごとに異なりますが、少なくとも「メールで届いたリンクを開いて手続きを進める」という流れ自体が、これまで確認された偽メールに共通する特徴です。
不審なメールが届いたときの、3つの止まりどころ
- 「給付金」「マイナポータル」という言葉に、反射的にリンクを開かない。本物のドメイン名に似せた偽サイトが実際に確認されています。
- メールアドレス・パスワード・クレジットカード情報の入力画面が出たら、その場で閉じる。公的機関が、給付金の案内でこれらの情報をメール経由で求めることはありません。
- 心当たりのない給付金の通知が来たら、送信元の公式サイトをブックマークや検索から自分で開き直して確認する。メール内のリンクは使わないでください。
新しい給付金が出るたびに、家族で確認する習慣を
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物価高対策の給付金は、今後も新しい制度が追加される可能性があります。そのたびに、似た構造のフィッシングメールが出てくることは、これまでの記録から見ても十分に考えられます。離れて暮らす家族がいる場合、「給付金のメールが来たら、まず自分に見せてね」と話しておくだけでも、被害を防ぐ一つの備えになります。日常的に様子を確認できる見守りサービス・みまもりGPSのような仕組みも、こうした会話のきっかけとして検討してみる価値があります。
もし、すでに情報を入力してしまっていたら
偽サイトにメールアドレスやパスワード、クレジットカード情報をすでに入力してしまった場合は、気づいた時点ですぐに対応することが大切です。同じパスワードを他のサービスでも使い回している場合は、それらのパスワードもあわせて変更してください。クレジットカード情報を入力してしまった場合は、カード会社に連絡し、利用停止や再発行の手続きを取ることができます。フィッシング対策協議会は、こうしたサイトやメールを見つけた際の情報提供も呼びかけています。一人で抱え込まず、早めに動くことが被害を小さくします。
確認・相談の窓口
- フィッシングサイトやメールを見つけたら:フィッシング対策協議会「info@antiphishing.jp」
- 警察相談専用電話「#9110」
- 消費者ホットライン「188」
- 不審な電話でその場からすぐに助けを求めたい場合は、迷わず110番
まとめ:給付金という言葉は、いつの時代も詐欺に選ばれやすい
電力・ガス・食料品の給付金、子育て応援手当。制度の名前は時代によって変わっても、「給付金が出ます」という一言で人の関心を引く構図は、厚生労働省が過去の給付金で注意喚起していた頃から変わっていません。新しい給付金のニュースを見たら、それ自体を喜ぶ前に、「この情報はどこから来たものか」を一呼吸置いて確認する習慣が、結局いちばんの備えになります。
制度変更に便乗した別の事例は高額療養費・後期高齢者医療の記事、マイナ保険証切替の記事で、SNS・ネット型の詐欺全体の手口や備えはSNS・ネット型の記事で、それぞれ詳しく整理しています。あわせてご覧ください。
(当サイトは個人が運営する情報サイトであり、警察・自治体などの公的機関とは関係ありません。記載内容は内閣府・こども家庭庁・厚生労働省・フィッシング対策協議会・各都道府県警等の公表資料をもとに整理したものです。実際の被害に関するご相談は、警察相談専用電話「#9110」など公的な窓口へお願いします。)
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